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  口元を美しく見せるスマイルライン
我々が前歯を大がかりに治療する時は、その形や色を自由に設定できますので、(入れ歯を含む)その時の基準はどこに取るのでしょうか。ある程度平均値と言うものは存在しますので、それを基に作っていくのですが、最終的にはお口の中で仮合わせをします。これを、専門的には「試適」と呼びます。

7,8割くらい仕上げたものを、実際に患者様のお口の中に入れて、手鏡を見ていただきながら、ああでもない、こうでもないと話し合って作り上げていきます。もちろん、その前に私が見て、明らかにおかしい場合はまず修正をします。

前歯の治療―男女の違い

ここで特徴的なのは、男性と女性の違いです。男性の場合はほとんどの方が、鏡をチラッと見て「いいよ」とか「先生に任せる」といったニュアンスの答えを返されます。これは、関心がないというよりは、多分恥ずかしさの裏返しなのではと思っております。今の若い人は違うかもしれませんが、私も含めてある程度の年齢以上の男性は、例えば洋服などを選ぶ場合も、何着も試着してどれが似合うかと時間をかけて思案するのが苦手です。よっぽど自分がかっこいいと思われている方は別かもしれませんが、私など、どれを着ても大差はなく、あれこれ選んでいる自分が恥ずかしくなるので、1,2着見たらそれを買ってしまいます。ちなみに私は自分で自分の服を買ったことがほとんど無く、試着も嫌がるので家内泣かせです。

対して女性は、やはり美に対する執着が違います。鏡を渡すと、前から、横から、上下からと色々な角度でチェックされます。ですから、男性の場合は横についてこちらがある程度誘導しながらお聞きしますが、女性の場合はしばらくそのままほっておいて、他の方の治療をしています。そして、一段落して鏡を膝の上におかれたら、初めて声をかけます。それから、ああでもないこうでもないと、希望をお聞きしながら修正していきます。

ここで我々が気をつける事は、我々が思っている美しさと患者様ご自身が描いている美しさにズレがある場合があると言う事です。我々は、どうしても平均的に作っていく習性があります。もちろんそれで満足される方もたくさんいらっしゃるのですが、例えば元々少し出っ歯だった方は、こちらが気を利かせて少し引っ込めて作ると、自分らしくないと否定される場合があります。また、あまりきれいに並んでいると、いかにも作り物のように見えるからと、わざと多少歯並びを乱れさせて作る場合もあります。

やはり、患者様ご自身の歯ですし、治療費を払われるのも患者様ですので、我々の固定観念を押し付けず、患者様が一番納得されるものを作りますので、この試適という作業は大変大切なステップです。場合によっては、我々から見るとちょっと・・・という場合もあるのですが、やはり患者様の希望を最優先いたします。もちろん、不可能な事もありますので、そのときはよく話して妥協点をみつけていきますが。

誰が見ても美しい歯並び、スマイルライン

ただ、自分の思い込みを除いて、やはり誰が見ても美しいという歯並びは存在すると思います。一般的に言われているのが「スマイルライン」というものです。これは、自然に微笑んだ時、上下の唇は軽く開き、両端の口角が上に上がって唇のラインはは真一文字ではなく、ゆるやかな円を描きます。上唇のラインに沿って上の歯が左右対称に少し見えて、歯の先端は下唇に少し触れるような並び方です。また、前歯を正面から見たときの歯の幅の割合もあるのですが、これは専門的になりますので省きます。審美歯科と呼ばれる方々は、このスマイルラインを非常に大切にされます。矯正もそうです。

一番よくわかるのは、「ヨン様」でしょう。「微笑みの貴公子」と呼ばれるように、いつも微笑んでいますが、その口元には、真っ白なきれいに並んだスマイルラインが形成されています。今度、そういう目で口元に注目して見てみて下さい。

その他に大切な事は、歯が左右対称に並んでいること、歯の軸、特に真ん中の2本が傾斜していない事、具体的に言うと、目と目の瞳孔をむすんだ線に対して歯が垂直に並んでいること、上下の歯を結んだラインが上記の線に対して平行な事、極端に前へ出たり引っ込んだりしていない事などです。我々は、これらの項目を総合的に判断して作っていきます。