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前歯は表情に大きな影響を与えます
世の中に、歯の悪い方はたくさんいらっしゃると思いますし、歯科が苦手な方も多いでしょう。事実、初めて私の医院に来られた初対面の患者様から、開口一発「私は歯医者が一番苦手です」と先制パンチを食らう事がよくあります。さあこれから治療と言う時にそう言われますと、どうしようと戸惑ってしまう事もあります。
そんな方々でも、前歯に何か不具合が出ると、飛んでこられます。それだけ、前歯というのはその人の表情を作る上で大きな役割を果たしています。
よく、ドリフ(ちょっと古いですね。)やたけしなどのコメディアンが前歯を黒く塗って出てくる事があります。その時、どんな役回りを演じているかと言うと、決して頭の切れるしゃきしゃきとした人物ではなく、ちょっと間の抜けた、ボケが入っているような役回りです。つまり、前歯一つのイメージが、そこまで相手の印象を決めてしまうと言う事です。
前述した様な方々も、それは本能的にわかっていらっしゃるようで、前歯にトラブルがあると、渋々でも来られます。前歯が一段落して、「奥歯にも虫歯がありますよ」と言っても、それ以来お会いしていない方がたくさんいらっしゃいます。
本当は、お口の中を全体的に治す時は、前歯は一番最後に行なうべきなのです。前歯と奥歯の役割を考えますと、簡単に言うと、前歯は物を噛み切るため、奥歯は物をすりつぶすためと言えると思います。これは、人間が多種多様なものを食べる雑食性に適応した形態で、肉しか食べないライオンやトラ、草しか食べない牛や馬とは大きく異なってきます。そのあたりは、また機会を見て詳しくお話します。
理想的な歯並びをした方を原則として話して行きます。今は歯並びが悪い方が増えていますので、個別の話はかかりつけの歯医者さんにお尋ねください。
本当は、前歯よりも奥歯のかみ合わせが大切です
奥歯は上下が垂直にあたるのに対して、前歯は斜めにあたります。これが大切なところです。かみ合わせの高さは奥歯で保たれています。奥歯が欠けたり穴が大きく開いたり、欠損したり、歯周病でゆるんだりすると、奥歯のかみ合わせがゆるんできて、前歯のあたりが必要以上に強くなってきます。前歯は斜めにあたりますので、上の歯が下の歯にガンガン突き上げられるようになり、歯が欠けたり、だんだん開いてきたり、出っ歯になってきたりします。
つまり。奥歯のかみ合わせがしっかりしていないと、前歯はどんな高額な治療をしたとしても、必ず何らかのトラブルに見舞われます。ですから、治療の順番としては、まず奥歯のかみ合わせをしっかり作った上で、前歯に移ると理想的なかみ合わせができあがります。奥歯を治療する間は仮歯で少し我慢していただいて、最後に前歯をきれいにして、アヒルから白鳥に変身していただきたいのですが、そこのところを説明しても、なかなか理解が得られず、患者様の要望に負けて、早期に前歯を治療して自己嫌悪の陥る事もあります。
最近、前歯が出てきたとか、昔よりも開いてきたと言う方は、奥歯に問題がある場合が多いですので、早めに歯科医院でチェックをされてください。
前歯は顔のイメージを作ります
私は技工歯科の学生に講義に行きます。入れ歯の講義を担当しているのですが、入れ歯というのは自分の好きなように歯を並べることができます。そのときの話をいくつかご紹介します。
皆さん糸切り歯(真ん中から3番目の歯、動物で言うと牙)に注目してください。その歯が外に開いている顔と、内側に倒れている顔を想像してください。外側に開いている典型が、鬼のお面です。逆に、内側に倒れている典型がドラキュラです。鬼のイメージは乱暴で外向的、ドラキュラのイメージは、陰湿で内向的ではないでしょうか。つまり、入れ歯の場合は、ある程度自由にそのイメージに近づける事ができます。もちろんそんなに極端な並べ方はしませんが。男性と女性、がっちりした体格か、痩せ型か、などを参考に、その人の顔になじむように並べていきます。
また、笑った時、前歯が歯ぐきまで見える方と、ほとんど見えない方がいらっしゃいます。タレントのさんまや久本が前者の典型でしょう。私が説明するまでもなく、キャラクターが似ています。後者は典型的な方が思い浮かびませんが、多分物静かな方が頭に浮かぶと思います。
その他にもたくさんありますので、また今度ご紹介いたします。前歯は本当にその人の顔のイメージを作ります。芸能人が、必ず最後は歯をきれいにするのを見てもわかると思います。皆様も、もう一度鏡に向かってにこっと微笑んでみて下さい。その時の自分の歯はいかがでしょうか?
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